「株式投資で成功するのは、亡くなった人か、自分が株を持っていることを忘れている人だ」――そんな格言を、ネットで見かけたことがある人は多いと思います。
頻繁に売買して一喜一憂するより、買ったまま忘れているくらいの方が、結果的に資産は増えている、という皮肉のきいた話です。
私はこれにあやかろうとしました。
証券口座を複数使って、あまり見ない口座にお金を入れておけば、自然と「忘れている人」になれるんじゃないか。
そう考えて、証券口座を複数に分けて運用する作戦を立てたのです。
結論から言うと、その目論見はあっさり外れました。
今日は、その正直な顛末を書きます。
なお、この記事は私個人の体験談であって、特定の証券会社や投資手法を勧めるものではありません。
「こういう人もいるんだな」という失敗の一例として読んでいただければと思います。
今使っている証券口座は4社(当初は7社だった)
今使っているのはSBI・楽天・マネックス・SMBCの4社です。
ただ、最初から4社だったわけではありません。
もともとはIPO(新規公開株)に当選したくて、7社まで口座を開設しました。
IPOは複数の証券会社から申し込むと、その分だけ当選のチャンスが増えるからです。
当時は「口座をたくさん作れば、いつか当たるだろう」と意気込んでいました。
ところが、現実はそう甘くありませんでした。
IPOはなかなか当たらず、申し込み自体も地味に手間がかかります。
本業もある中で、毎回すべての口座から申し込むのは正直しんどい。結局、IPOはほとんどやらないまま終わってしまいました。
そうして残ったのが、今も使っている4社です。
口座だけ作って放置してしまった経験、ある人も多いのではないでしょうか。
メイン口座のSBI証券・楽天証券で大きく動かしている
4社のうち、実際に大きく動かしているのはSBI証券と楽天証券の2社です。
ただ、同じ「メイン」でも、この2つは性格がまるで違います。
SBI証券は、信用取引もやっている口座です。
日によっては1日で数百万円が動くこともあり、儲けも損も大きい、いちばん神経を使う口座です。
なお、信用取引はリスクが大きいので、人には勧めません。
あくまで自分がやっているという話です。
一方の楽天証券は、現物取引だけにしています。
現物だけだと、含み損を抱えてもすぐに退場させられることはないので、気楽に持ち続けられます。
同じメイン口座でも、SBIはヒリヒリ、楽天はどっしりかまえる。
緊張感がまったく違います。
「あえて見ない証券口座」を作りたかった

問題は、このメイン2社を、私はどうしても頻繁に見てしまうことでした。
大きなお金が動いているので、気になって何度もアプリを開いてしまう。
これでは、冒頭の格言の「忘れている人」にはなれません。
そこで私は考えました。
マネックス証券とSMBC日興証券に少額だけお金を入れて、そこを「あえて見ない口座」にすればいいんじゃないか、と。
メインで神経をすり減らす一方、サブの2社は放置しておく。
久しぶりに開いたら、いつの間にか少し増えている。
そんな理想の状態を、意図的に作ろうとしたわけです。
あの格言の「忘れている人」を、自分の手で再現しようという目論見でした。
でも、複数の証券口座は本来まったく性格が違う



ここで正直に書いておきたいのですが、私がサブ口座にお金を分けている理由は、実は「見ないため」だけではありません。
もうひとつ、もっと現実的な理由があります。
それは、メインのSBI・楽天の2社に、資産が偏りすぎないようにするためです。
この2社では、信用取引を含めてかなり大きな金額を動かしています。
全部の資産がこの2社に集中していると、さすがに偏りすぎだと感じました。
だから、それほど多くはないですが、臨時収入などが入ったときは、あえてメインではなくマネックスとSMBCに入れて、少しずつ分散させているのです。
よく投資の話である「卵を一つのカゴに盛らない」という感覚に近いかもしれません。
なお、「証券会社が破綻したら資産はどうなるのか」という話もよく聞きますが、私はそこを主な目的にして分散しているわけではありません。
その仕組みについては詳しくないので、ここでは触れません。
気になる方は、ご自身で調べてみてください。
私の分散は、あくまで「メイン2社に偏らせたくない」という、ただそれだけの理由です。
結局、複数の口座を全部小まめに見てしまった



さて、「あえて見ない口座」を作る作戦は、どうなったか。
見事に、失敗しました。
サブのマネックスもSMBCも、結局、小まめに見てしまうのです。
少額しか入れていないはずなのに、「あの銘柄、今いくらになっているかな」と気になって、ついアプリを開いてしまう。
放置するつもりが、気づけば4社すべてを巡回している始末です。
むしろ口座が増えたぶん、チェックする手間が増えただけ、という本末転倒な状態になりました。
考えてみれば、当たり前なのかもしれません。
自分のお金が入っている以上、それがいくらになっているか気にならないわけがない。
でも、全くお金に困らない大金持ちなら気にならないのかもしれません。
「見ない」というのは、思っていたよりずっと難しいことだったのです。
「忘れる」は、意志でやれることじゃないのかもしれない



この体験を通じて思ったのは、あの格言の「忘れている人」というのは、狙ってなれるものではない、ということです。
「忘れよう」と意識した時点で、もう忘れられていない。
本当に忘れている人は、たぶん投資していること自体を忘れているわけで、それを意図的に再現しようとするのは、そもそも矛盾しているのかもしれません。
「口座を分ければ忘れられる」という私の発想は、少し浅はかだったようです。
とはいえ、証券口座を複数使うこと自体は、私にとっては悪いことばかりではありませんでした。
「見ない口座」にはなりませんでしたが、メイン2社に資産が偏りすぎないようにする、という当初のもうひとつの目的は、ちゃんと果たせているからです。
複数の証券口座を、放置のために使うのは、私には向いていませんでした。
でも「資産の置き場所を分けておく」という意味では、今も役に立っています。
同じように「見ない口座を作りたい」と考えている人がいたら、たぶん、あなたも結局見てしまいます。
それでも口座を分ける価値はあるのか?それは、自分が何のために分けたいのか次第なのだと思います。
※本記事は筆者個人の体験と考えに基づくものであり、特定の証券会社・投資手法を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。








