7月16日の東京株式市場は、日経平均が前日比1,915円安(▲2.79%)の6万6,835円で終えました。

下げ幅は一時2,200円を超え、前日までの2日間の上昇幅(1,508円)を帳消しにする急落です。そして17日の今朝も、時間外の日経先物は▲995円と、厳しいスタートが予想されています。
数字だけ見ると「暴落か?」と身構えたくなりますが、私の体感は少し違います。
今回の下げは、ほぼすべての銘柄が投げ売りされる本物の暴落とは、明らかに性質が違うと感じています。
この記事では、なぜそう考えるのか、そして私自身がこの急落局面でどう立ち回っているのかを、正直に書いていきます。
何が起きたのか――半導体メモリ発の総崩れ
今回の下げの震源地は、はっきりしています。半導体、それもメモリ関連です。
前日の米国市場で、マイクロン・テクノロジーやサンディスクなど半導体メモリ関連株が軒並み売られました。
AIデータセンター向けの旺盛な需要を受けて先高観の強かった半導体メモリの価格が、落ち着くとの見方が広がったためです。
中国の半導体メモリ大手が新規株式公開(IPO)で調達した資金で生産能力を拡大し、メモリの競争が激化することを懸念した売りに押されています。
この流れが日本市場を直撃しました。16日の日経平均を押し下げた寄与度ランキングを見ると、AI半導体の値がさ株がずらりと並びます。
| 銘柄名 | 寄与度(円) | 騰落率 |
|---|---|---|
| アドバンテスト | ▲451.34 | ▲5.9% |
| 東京エレクトロン | ▲336.89 | ▲4.5% |
| ソフトバンクG | ▲321.00 | ▲6.3% |
| キオクシアHD | ▲257.88 | ▲15.0% |
| イビデン | ▲129.73 | ▲10% |
キオクシアHDは一時16%近く下落。私のコア銘柄であるソフトバンクグループも▲6.3%と大きく売られました。
日経平均は値がさの半導体関連のウエイトが非常に高いため、このセクターが崩れると指数全体が大きく下がる構造になっています。
これは「暴落」ではないと考える理由
ここが今回いちばん伝えたいポイントです。
私は長く相場を見てきましたが、本物の暴落のときは、とにかくほぼすべての銘柄が売られ始めます。
優良株もバリュー株も内需株も、理屈抜きに叩き売られる。それが暴落です。
でも今回は違いました。
私の保有銘柄でも、大きく下げたのは日経レバとソフトバンクグループが中心で、それ以外の小型の個別株はそこまで調子が悪いという印象がありませんでした。
この体感は、データとも一致しています。
16日の東京市場では、トヨタ自動車やソニーグループなど出遅れていたバリュー(割安)株の一角が買われました。
値上げによる採算改善期待が高まったサイゼリヤはストップ高、日本たばこ産業(JT)も高い。ちばぎんアセットマネジメントの森田調査部長は「循環物色の流れは変わらずで日本株全体を悲観すべき状況ではない」と話しています。
実際、日経平均とは異なり、東証株価指数(TOPIX)はチャート上の25日移動平均を上回って推移しています。
つまり今回の下げは、全面安ではなく、「AI半導体という一つのセクターから資金が抜けて、バリュー・内需株に回っている」という色分けされた調整です。
米株市場でも「売られすぎ」の指摘があった超大型ハイテク7社「M7」への見直し買いが入り、アップルは15日に最高値を更新しました。
お金が消えたわけではなく、置き場所が変わっているのです。
プット・コール・レシオとは?――相場の「弱気度」を測る温度計
今回の相場を語るうえで、ニュースでよく出てくる「プット・コール・レシオ」という指標に触れておきます。聞き慣れない方も多いと思うので、できるだけ噛み砕いて説明します。
まず、オプション取引には2種類の「権利」があります。
- コール(Call)=「買う権利」。株価が上がると儲かる。強気の人が買う。
- プット(Put)=「売る権利」。株価が下がると儲かる(下落に備える保険にもなる)。弱気の人が買う。
プット・コール・レシオは、このプットの取引量をコールの取引量で割った比率です。計算式にすると「プット ÷ コール」。とてもシンプルです。
ここで大事なのが、これが分数(割り算)だという点です。分子がプット、分母がコールなので、次のような関係になります。
- 分子のプットが大きくなると、レシオの数値は大きくなる = 下落に備える人・弱気の人が増えている
- 分母のコールが大きくなると、レシオの数値は小さくなる = 上昇を期待する人・強気の人が増えている
つまり、レシオの数値が大きいほど市場は弱気、小さいほど強気、と読めます。この数字が意味するのは、相場参加者の「弱気度」だと言えます。
例えるなら、体温計のようなものです。平熱(バランスの取れた状態)から数値が大きくなっていくほど、市場が「下がるかも」と身構えて保険(プット)を買い込んでいる、いわば相場が”発熱”して警戒している状態を示します。
今回の記事で紹介されているのは、日経平均のプットの建玉残高をコールの建玉残高で割ったレシオが、上げ相場が一服した6月下旬から水準を切り上げ、10日には2.15と、しばらくぶりの高水準になった、という点です。
つまり「弱気派が増えて、下落に備えるプットの需要が強まっている」ことを、この数値が裏付けているわけです。
今回の半導体安の局面で、市場心理が慎重になっていることの一つの証拠、と読めます。
なお、ひとつ補足しておくと、プット・コール・レシオには算出方法がいくつかあります。
今回の日経平均の数字は「建玉残高ベース」ですが、米国のCBOE(シカゴ・オプション取引所)が出している有名なレシオは「取引高ベース」で、水準感がまったく違います(米国のものは1.0前後で推移することが多い)。
だから「米国は0.9なのに日経は2.15、日経のほうが危険なのか」と単純比較はできません。
あくまで同じ指標・同じ算出方法どうしで、過去と比べて今が高いか低いかを見るのが正しい使い方です。
ここが逆説――「弱気が強い」ときこそ相場は上がってきた
そして、ここからが私がいちばん面白いと思うポイントです。
日経225オプションのプット・コール・レシオは、実は2025年の後半あたりから、高い水準で推移し続けてきました。
つまり、市場はかなり長い間「弱気・警戒モード」だったということです。
参加者は下落に備えてプットを買い続けてきました。
ところが、その間に日経平均はどうなったか。
むしろ上昇し、今年6月には史上最高値圏(7万2,831円)まで駆け上がっているのです。
「みんなが弱気で保険を買い込んでいる」局面で、相場は逆に上がってきた。
これは、プット・コール・レシオが「逆張り指標(コントラリアン指標)」として働いてきたことを示しています。
弱気が極まっているときほど、実は相場は上がりやすい。
理由はシンプルで、すでにみんなが売り(や保険)に回りきっていると、あとは買い戻しの余地しか残っていないからです。
この視点で今回を見直すと、レシオが高いことは「暴落が近い」という単純なサインではありません。
むしろ「弱気に傾きすぎた市場が、反発する余地を溜めている」とも解釈できます。
もちろん、これは絶対の法則ではなく、本当に地合いが崩れれば弱気が的中することもあります。
ただ、少なくとも「レシオが高いから即暴落」と決めつけるのは早い、ということは、過去のチャートがはっきり教えてくれています。
(※日経225オプションのプット・コール・レシオの長期推移は、stock-marketdata.com などで確認できます)
私の立ち回り――「少しずつ買って生き残る」
ここからは私自身の話です。
この急落局面で、私がどう動いているかを正直に書きます。
昨日16日は、山岡家(3399)を一部利確しました。









前日に買った銘柄が翌日にきちんと利益を出してくれた形で、信用の返済売りで実現損益は合計+105,367円になりました。
急落相場の中でも、利が乗っているものは淡々と確定していく。これは大事にしている習慣です。
一方で、下げている日経レバETF(1570)は買い増しました。ただし、ここが以前の自分との決定的な違いです。
以前の私なら、日経レバを一気に買って、すぐに追証をくらっていました。
下げたところで「今だ」とばかりにフルポジションで飛びつき、さらに下げて追証、というのが毎回の負けパターンでした。
でも今回は、少しずつ買っています。昨日も現物5株と信用20株という抑えた枚数にとどめました。だから、これだけ下げても追証をくらわずに生き残っています。ポジションに余力を残しているので、精神的にも冷静でいられます。



今日の方針――長期線での反発に注目
今朝17日も、おそらく大きく下落するでしょう。
時間外の日経先物は▲995円、米半導体指数SOXは▲4.29%、恐怖指数VIXは+6.77%。韓国のKOSPIも▲6.37%と急落しており、日本の半導体株に連れ安圧力をかけそうです。
それでも私は、今日も少しだけ買うつもりです。
そして、それ以上に下落していくようであれば、損切りも検討します。ナンピンで枚数を膨らませすぎない。想定を超えて崩れたら、素直に損切りラインを引く。
生き残ることを最優先にします。
今、相場参加者の誰もが注目しているのは、日経レバの日足チャートの長期線付近で反発するかどうかだと思います。
私もその一人です。
ここで下げ止まって反発するのか、それとも長期線を割り込んでさらに下を試すのか。
ここが目先の最大の分岐点です。
なお、昨日15時に発表されたTSMCの決算は、売上高・純利益ともに四半期として過去最高でした。
AI向け需要の強さを背景に通期見通しや設備投資計画も引き上げています。それでも半導体株は買い戻しきれませんでした。
「好業績はすでに株価に織り込み済みで、投資家は完璧な決算発表を求める傾向にある」との指摘通り、良い決算でも利確売りが出やすい地合いなのです。
この「良い数字が出ても下げる」という相場の空気は、今の局面を象徴していると思います。
まとめ
2日間で日経平均は大きく下げましたが、私の見立ては「これは暴落ではなく、AI半導体一極集中の調整」です。
全面安ではなくバリュー・内需への循環物色が起きていること、TOPIXが25日線を維持していることが、その根拠です。市場心理は慎重で、プット・コール・レシオも高い水準にあります。
ただ、そのレシオが高いときほど相場はむしろ上がってきたという過去の逆説を踏まえれば、これも直ちに暴落を意味するとは限りません。
もちろん、含み損が売りを呼ぶ展開への警戒は、常に必要ですが。
こういう相場だからこそ、欲張らずに淡々と。
少しずつ買い、ダメなら損切り、生き残ることを最優先する。追証で退場していた過去の自分とは、もう違うやり方で戦えている。
それを確認できただけでも、この2日間は無駄ではなかったと思っています。
長期線で反発するのか。答え合わせは、これからの数日で見えてきます。
冷静に、淡々と見ていきます。
※本記事は個人の投資記録・感想であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。








